心は形に見えないが

(社長の想いと行動:ある不動産会社・社長さんの話しから)

 8月からお世話になっている不動産会社のお茶のサービスについてお伺いしたころがあります。8月には、まず冷たいお茶が出てきて、その後にコーヒー(温かい)が出る。10月になってからは、熱いお茶が出てくる。何気ないことなのですが、器にも凝っているように見えたので、「何かこだわりがあるのですか?」とお聞きすると、「おもてなしの心」と仰いました。お茶の葉にもこだわっているとのこと。

この話の中で、商品にもこだわりがあるということから、東海道線沿いのある市で、土間のあるマンションの販売を始めたとのことで、「土間」へのこだわりについて伺うことが出来ました。社長さん(40代後半)が子供の頃、学校帰りに、近所のお年寄りの家に立ち寄って、昔話を聞いたことが大変印象に残っていて、そのおじいさんが亡くなられた時にお葬式にも参列した。人間は、生きているが必ず死ぬ時が来る。命の大切さをおじいさんに(身をもって)教えられた。

今があるのは、このような近所付き合いがあったからこそで、今の世の中近所のお付き合い、特に、お年寄りと子供たちとのコミュニケーションがなくなっている。このような状況を少しでも改善するために、人の集まることができる「土間」をマンションでも設けて見ようと考えた。地域住民にもこの話をして、理解していただけるよう務めた。とにかく、地元の方々の意見を聞くことに務めた。地元の風景を損なわず、人と人とがコミュニケーションできる空間を演出できれば、と言った想いが伝わり、地元合意を得てマンション建設にこぎつけた。ちょうど同じ時期に建設予定だった企業は、建設が頓挫しているとのことで、その理由はどうも地元住民との軋轢が生れてしまったようだ、と社長談。

「心は形に見えませんので、人に分からず、周りに響きはないようですけれども、決して決してそうではありません。いちいちピンピンと跳ね返るほど響き、応えてくれるものだとお考えください。<丸山敏雄:一日一話より>」

上記の話でも、この社長さんの想いが地元住民にも社員にも伝わっていると感じられました。ちなみに、「土間」をつけるかどうかはお客さんの選択で、改造するのだそうです。「改造費は、弊社持ちでやらせていただくのです。押し付けの商売はしたくない。」こんなところにも社長さんのこだわりが感じられました。

<2006.11.3のテレビ朝日の番組で、土間のあるマンションが紹介されました。大変好評のようで、すぐ完売になったようです。>